うどん１位・香川「朝は製麺所でうどん。昼は職場近くの店でうどん2玉。おやつはうどん。夜は酒の締めにうどん。」＿２位・埼玉「…」

彩たまつれづれ
うどん県、香川の背を追って　／埼玉

　朝、湯気が立ち上る製麺所の一角で、うどんをすする。昼、県庁近くの店で天ぷら2個も注文してうどんを2玉。
夕方、小腹がすいてきたので会社の近くにある店で1玉。夜、一杯飲んだ後に締めのざるうどん――。
「うどん県」香川では、こんな一日もある。

　23年前に入社して初めて配属されたのは、香川の高松だった。香川の皆さんはうどんをよく食べると聞いていたが、本当だった。
最初は自分で湯がく所作がもどかしく、もじもじしていたけれど、1カ月もすればなじんでいた。
だしの味、麺の小麦の風味、備え付けのネギ、天かすの具合などが店によって異なるから、まったく飽きが来ない。
しかも香川にはうどん店が無数にあって、訪ねても訪ねても追いつかないほどだ。うどんのない生活は考えられなかった。

　少し古いデータになるが、2009年の農林水産省の「米麦加工食品生産動態等統計調査」によると、
香川県のうどん用小麦粉使用量は約5万9000トンで、2位に2倍以上の差をつけて全国1位だった。
うどんの世界で香川の存在感は圧倒だ。では巨象の背中を追う2位はどこかと言えば、それは埼玉県。
恥ずかしながら、赴任するまで知らなかった。

　埼玉県は今年、「うどん共和国さいたま」と題するフリーペーパーを発行し、多種多様なうどんに関する発信を進めている。
そんな中、蓮田市の製麺会社「岩崎食品工業」が香川で12月に開催される「全国年明けうどん大会」に出店すると名乗りを上げた。

　きっかけは「2位の埼玉から出店がないのはどうか、と思ったから」だという。
全国各地の名物うどんが並ぶ大会では、冷たいうどんを温かい肉汁につけて食べる名物の「肉汁うどん」をアピールする予定で、
同社の神田広人社長は「出店は、埼玉のうどんを知らしめるよいチャンス」と意気込む。

　今でこそ知られるようになったものの、埼玉のうどんは誰もが知る存在ではなかった。
神田さんは「埼玉には地域ごとに昔からうどんの文化があって、名物を食べているのに、名物と気づいていなかったのではないか。
県外の人からおいしいと言われて初めて名物と気づいて、そして売り出し、やっと人気が出てきた」と語る。

　大いなるうどん県、香川の背中はまだまだ先にあるのかもしれない。
少しでも追いつけるように、埼玉のうどんを食べて応援したいと思う。

【さいたま支局長・坂口雄亮】＝原則月1回掲載

https://mainichi.jp/articles/20221130/ddl/k11/070/152000c

埼玉は、例えば川幅うどんとか ずりあげうどんとか県内の地域によって色々あるけど
あと山田うどん