産婦人科医「マジでババアは出産しようと思うな。若いうちに産んでおけ。40歳で出産！とかのニュースに騙されるな」

「40代で出産」のニュースに惑わされないで－－子どもを持つ人生を望む女性に、産婦人科医・高尾美穂さんが伝えたいこと

年齢が上がると、出産する女性のリスクも高くなる

　妊娠を望むのであれば、30代半ばぐらいからは下り坂だということを、20代の半ばまでには知っていただけたらと思います。年齢を重ねても生理があれば妊娠する可能性はありますが、生理があるからといって、必ず妊娠できるとは限りません。35歳を過ぎると自然妊娠率がぐっと下がり、流産率は上がります。

　排卵期のころに性交渉を持った場合、1回の月経周期で妊娠する確率は、20代では25～30％とされています。流産率も10％ぐらいです。35歳を過ぎると自然妊娠率は20％を切り、流産率は25％ぐらいに上がります。40代では自然妊娠率は5％ぐらいにまで落ち、4割ぐらいは流産します。

　35歳から40歳にかけての変化は大きいですよね。特に年代が高めの方がお子さんを希望している場合、妊娠してすごく喜ばれるのですが、流産してしまうことも多く、そばで見ている側もつらくなります。

　母体側のリスクという点からも、30代前半までが「一番安全」と言えると思います。妊産婦死亡率が低いのが20代から30代前半にかけてなのです。年齢が上がると妊娠高血圧症候群の患者さんが増えます。妊娠高血圧症候群になると、胎盤早期剥離のリスクが高くなることがわかっていますし、母体が妊娠を維持するのが難しくなり、妊娠週数が早くても帝王切開で赤ちゃんを取り上げるという選択になることも多いです。母胎は救命できても、早い週数で生まれた赤ちゃんは肺機能が十分に準備できていなかったり、感染症にもかかりやすかったりと、さまざまなリスクがあります。

　40代の芸能人や有名人が出産し、大きく報じられることがあります。「48歳で出産」というようなニュースが届くと、「48歳でも妊娠できるんだ」というような気持ちになるかもしれません。気をつけていただきたいのは、そういったニュースで報じられているのは、多くの場合、主語と述語だけだということです。どのように妊娠出産したのか、背景はほとんどわからないですよね。

https://mainichi.jp/premier/health/articles/20240404/med/00m/100/006000c