【悲報】天安門事件の学生リーダー・王丹さん、トランプ信者のQアノンになっていた

　トランプ支持を表明している民主派の代表格は王丹氏（５１）だ。１９８９年に人民解放軍が民主化を求める学生らを武力鎮圧した「天安門事件」で、学生リーダーとして運動を率いた。事件後は国外に逃れ、現在は米国を拠点にする。中国の民主化に人生をささげてきた人物といえる。

　「バイデン氏がトランプ氏より中国に強硬だなんてでたらめだ。３歳の子どもをだますようなものだ」。王氏はネット上などでトランプ支持の論陣をはる。うそばかりの中国共産党政権に対してはトランプ氏のような強硬策が必要だと主張し、米国の対中政策がバイデン政権下で軟化することを強く恐れる。

　このような考えは中国国内にとどまる民主派の多くにも共有されている。長年の抑圧によって影響力を失った中国の民主派にとって、共産党政権を徹底的にいじめるトランプ氏の姿が痛快にみえたのかもしれない。トランプ氏にすがらなければならないほど、中国の民主派が絶望的な状況にあるとも解釈できる。

　一方でトランプ氏が米国の民主主義を傷つけたのも事実だろう。「独裁体制から逃れ、別の独裁者を支持するのか」。民主派にシンパシーを持つ北京の知識人は厳しく王氏を批判する。この知識人は、新型コロナウイルスへの対応を誤った米国の姿に「失望した」とももらした。トランプ政権下で、多くの中国人にとって米国の民主主義は輝きを失った。

　さらに１月６日にはトランプ支持者が米議事堂を一時占拠した。「米国のこととは信じられなかった。衝撃的だった」（同知識人）。中国の官製メディアは米国の混乱を象徴する出来事として喜々として報じる。意図的かどうかは不明だが、香港で一昨年に続いた民主化運動と同列に扱い、民主主義のイメージをおとしめようとする。

　トランプ氏が民主主義に与えたダメージは米国内にとどまらず、世界各地で民主主義を希求している人々にも広がった。バイデン政権下で米国の民主主義は輝きを取り戻せるのか。世界中がかたずをのんでその成否に視線を注ぐ。